Google Chrome OSについて考える
先日、GoogleがChrome OSを発表した。GoogleがOSを作るということは、昔から言われていたが、クラウドOS的な話ではないように思える。クラウドOSなんかより、もっと、シンプルであり、それ故に、恐ろしい発想に思える。
ネットブックに必要なものは何か?
ブラウザしか使わない人がたくさんいることは明確だ。その一つのソリューションがネットブック。ネットブックは8年前のOS(XP)と低能力のCPU(Atom)により構成される。軽い構成にしているにも関わらず、ネットブックは遅い。ブラウザだけしたい人にとってはオーバースペックであることは明白。オーバースペックの代償が遅い動作となると話にならない。
ネットブックに必要な要件は高速にブラウザが起動できることだ。全てのPCがネットに繋がるのは暴論だと言う人がいるが、ネットブックというくらいなんだから、ネットにつながっているのは必須とい言っても問題ないと思う。とは言っても、GoogleはGearsを持っているので、ネットにつながってなくてもアプリを動かすソリューションを持ち合わせている。
高速ブラウザに必要なものは何か?
各社、JavaScriptが速いブラウザを競って作っている。しかも、それらはWindows,Mac,LinuxといったOSありき。これらブラウザはOSを立ち上げ、ブラウザを立ち上げる速度を速くするものではない。ブラウザの性能に必要な要件は、JavaScriptが高速なだけではなく、高速に起動できること。
各社のブラウザは、起動を速くするために、OSをなくすという発想までには至っていない。そんな中、既存のOSをとっぱらいブラウザだけ動かすという考え方はシンプルで面白い。Googleのすごいところは、民生機器をターゲットにしたのではなく、PCをターゲットにしたところ。民生機器ならOSなしにブラウザを動かすという考え方は普通だが、PCとなるとそういう発想は出てきにくい。ネットブックを速くするための構成としてはありだと思う。まさしく、コロンブスの卵。
Chrome OSへの布石
Googleはちょこちょことなんに使うの?と言いたくなる技術を出していた。GearsやNaCL。これらはChrome OSのための布石だったのだろうか。
気になるのは、Gears。これをどこまで使うか。OSと言うからには、ブラウザ機能だけではなく、ローカルな機能にアクセスする必要がある。Gears。Gearsを使って、どの程度までOSとしての機能を実現するかが今後の見所。
CPUの締め出し
GoogleがサポートするCPUはいつもx86とARM。PCだけ対象にしている人にはそれだけあれば十分じゃないと思うかもしれないが、民生機器で使われているCPUは様々。
つまり、Googleの技術が大流行するとx86、ARM以外のCPUを使っている人たちはたまったものじゃない。まさしく、CPUの締め出しと言える状況が発生するかもしれない。
Androidとの関係は?
GoogleはChrome OSとAndroidは競合するところもあるが、選択枝の一つだと説明している。選択枝によりイノベーションは加速すると言っている。また、Androidは民生機器、Chorome OSはPCがターゲットだそうだ。
いろいろ、言い訳を並び立てているようだが、単にGoogleという組織が1枚岩ではなく、ぶれているだけにも見える。その証拠にGoogleはGoogle Desktop Gadgetなる技術も発表している。どれも似たような技術だが、相容れない。Googleに言わせれば、選択枝なのだろうが、個人的にはそうではなく、巨大になりすぎ、制御する人間がいない代償だと思う。Appleはジョブズがうまくやってるんだし。