救急医療に関する整理

救急医療に関する書籍を読んだ。自分なりにまとめてみる。

あなたは救命されるのか―わが国の救急医療の現状と問題解決策を考える (へるす出版新書)

あなたは救命されるのか―わが国の救急医療の現状と問題解決策を考える (へるす出版新書)

緊急医療とは

救急医療に一番大事なことは「患者を現場から医師へいかにはやく届けるか」である。
つまり、緊急医療は「時間との勝負」なのである。
緊急医療の課題は以下に分類できる。

  • 診療体制の課題
  • 搬送体制の課題
  • 情報体制の課題

緊急医療体制の課題

近年、よくマスコミをにぎわしている「たらい回し」。これは診療体制の課題に起因する。そもそも、緊急医療を施す病院が少なくなっていることが原因だ。この解決のためには、総合病院、大学病院の積極的な緊急医療への参入が必須となる。

搬送体制の課題

如何にはやく患者を医師に届けるかが救急隊士・救急救命士の責務である。
昨今、救急救命士はある程度患者に対して処置をしてもよいこととなっている。これにより、患者に対する初期処置は充実する。
しかし、これが仇となり、医師へ届ける時間が長くなっているというデータもある。つまり、救急救命士は何もせず、はやく病院に運ぶ方が患者の生存率があがるというデータがある。
救急救命士は必要最小限の初期処置のみを実施し、あとは医師にまかせるといったルール決めが必要となってくるだろう。
あと、患者への処置時間を短縮する方法としてはドクターヘリやドクターカーがある。これらはヘリや救急車に医者がはじめから乗り込むというものだ。ヘリや救急車が到着するとすぐに医者の処置がはじめられることにより、患者への初期治療の時間を短縮することが可能となり、生存率をあげる効果がある。
また、救急車が来るまでに民間人による初期治療への教育も大事である。最近ではそれぞれの住民がAEDに関する基礎知識を身につけ、いつでも誰でも活用できるようにしておくことで緊急時への対策が可能となる。

情報体制の課題

如何に迅速に患者を現場から病院へ運ぶか、これは、病院間の連携にかかっている。
更に一刻を競う緊急時には、その患者がどんな持病を持っているかとか、現在、どんな薬を服用しているか、などの情報があるかないかで、生存率が変わる。
こういった患者に関する情報を病院間で共有する仕組みは今後大事になっていくだろう。

47.2分、この数字が意味すること

東京で救急車を呼んでから、病院に搬送されるまでの時間は47.2分である。
心臓が止まってから10分以内に処置をしないと、生存率はゼロである。呼吸が止まってからだと30分以内の処置がないと生存率がゼロとなる。出血時は1時間以上処置がないと生存率はゼロに近くなる。
つまり、東京で命に関わる事故が発生したときに助かる可能性はゼロである。

まとめ

我が国の緊急医療は課題が山積みである。
政策や法の整備は必須である。
それだけでなく、技術者はIT技術や異分野の技術などの導入で、緊急医療の課題を解決できないかをもっと真剣に考える必要がある。